現在、国内では重い病気などにより、移植以外に治療法のない患者さんが大勢います。この方達が一人でも多く健康な生活を取り戻せるように、移植について皆さんのご理解とご協力をお願いします。
移植は第3者による善意の提供がなくては成り立たない医療です。
臓器移植 | 生体移植 | 近親者等の健康な方から提供を受けて移植します。 肺・肝臓・腎臓・小腸 |
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死体移植 | 亡くなった方から提供を受けて移植します。 心臓・肺・肝臓・腎臓・膵臓・小腸・眼球 | |
骨髄移植 | 白血病・再生不良性貧血等の血液の難病を骨髄幹細胞を輸血することで正常な造血機能を回復します。 | |
組織移植 | 亡くなった方から提供を受けて移植します。皮膚・骨・気管・血管・心臓弁・耳小骨等 |
できるだけ多くの方が臓器移植を理解して、ご自分の意思を示すことができるように、厚生労働省や(公社)日本臓器移植ネットワークが臓器提供意思表示カードを作成し、病院・役所・銀行・コンビニなどに置いて配布に努めています。
臓器提供を希望しない場合にも、自分の気持ちを示すことができるように工夫されています。
意思表示カードはご家族の署名がなくても、必ずご家族へ説明し、ご家族の承諾を頂いてからでないと提供にはなりませんから署名がなくてもカードは有効です。しかし、ご家族に提供の意思が伝わっていなくて、ご本人の貴重な意思が汲めなかったことが過去にたくさんあります。残されたご家族の気持ちになって考えても、ご自分の気持ちをご家族にきちんと説明しておくことが大切です。
かつては、人の死は、(1)心臓の停止、(2)呼吸の停止、(3)瞳孔の散大の3つの徴候が揃ったときと考えられていました。これを3徴候死(心臓死)といいます。この3つの徴候は、通常同時に生じるために死の判断をするのに問題は生じませんでした。
しかし、医学が進歩し、人工呼吸器や人工心肺などが開発され心臓や肺の機能を代替することが可能になると、3つの徴候は必ずしも同時に生じなくなりました。
たとえば交通事故で頭部にひどい外傷を受けて、脳の機能が失われて、自分で呼吸や血圧の維持ができなくても、人工呼吸器で呼吸を維持すると何日間は心臓を動かし続けることができます。
脳死とは、呼吸などを調整している脳幹と呼ばれる部分を含めて脳全体の機能が停止した状態です。脳死状態からの臓器提供の場合は、法律に規定された法的脳死判定基準に基づき検査を行い脳死が診断されます。
提供できる臓器に違いがあります。
心臓 | 肺 | 肝臓 | 膵臓 | 腎臓 | 小腸 | 眼球 | |
脳死下 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
心停止後 | × | × | × | ○ | ○ | × | ○ |
臓器提供にかかった費用が提供者のご家族に請求されことは一切ありません。臓器提供は善意に基づくものであり、無償の提供となり、謝礼等は一切ありません。
日本にいる外国人の方でも、日本の法律にそって臓器提供していただけます。また、外国にいる日本人はその国の法律にそって臓器提供していただけます。日本には外国人のための英文の意思表示カードがあります。
4つの権利があり、どの考え方も尊重されなければなりません。
現在の臓器移植法の下では、脳死を人の死ととらえるかとらえないかは、個人で判断し選択できますし、死後の臓器提供についても自分で決定する権利があります。ただし、最終的には必ずご家族の承諾が必要となるので、大切なご家族と各々の意見について相談し、伝えておくことが重要です。
徳島県では、患者様やご家族の意思、権利を守るため、移植医療についてのお考えを確認させていただいております。「臓器提供を考えてみたい。」「臓器提供の話は聞きたくない。」どちらの考えも尊重されます。